そういえば着物のひと

母は、冷たい手をしていました。

ふたりめの子どもが生まれるとき、
ストレッチャーで分娩室に向かう私の手を、
そっと握ってくれました。
ちょっと遠慮がちに、そっと・・・。
もうだいぶ遠い出来事だけど。
今でもふと思い出します。

娘を嫁に出すって、どんな気持ちなんだろう。

私には、もう実感することはできない気持ちだけれど、
本当にただただ幸せを願い、
どんなときでも理屈じゃなく、
ただひたすら助けたいと思うんだろう。

着物には、きっといろんな女性の思いが秘められている。
お嫁に行って困らないようにという、
母の思いの歴史もある。

だけど、今、この時代に、
受け継がれていくものって、あるのだろうか。

素直さというものが、本当にあったのだとすれば、
それはとてもステキな先輩がそこにいた
ということなのではないのかなぁ。

新しい世代が我がままになっているというよりは、
やはりどこか、大人になりきれない大人が、
多すぎるんじゃないかとも思う。


私の母はもうすでに、ほとけさまの域に達している(笑)
何がおきても、
人生のようだね、と笑う。

それでもいろいろあるんだから、
やっぱり人は最後の時まで成長しづつけられるように
できているんだね。


母がよく着物を着ていたのに、
ずっと気にとめていなかった。

おかしいよね、見えてなかった。

祖母、そして母。

そして、私。

私はまたひとりになっても、
きっと着物の人でいたい。

祖母のように。
母のように。

・・・・・・
っていってみるけどさ、
着物の人でいられるときは、
まだもうちょっと先みたい。

実は母だって、
私のそばでやんちゃ坊主達を追いかけてくれている今は、
着物を着ている暇はなさそうです。
それでももうだんだん終わりが近いけどね。

半ズボンをはかなくなる頃には、
おかあさ〜んなんて
私ももう、呼ばれなくなるのかも(笑)


そんなときが来ても、さびしくないように
着物の人になりましょう。(笑)

何かにわくわくしていられたら、
最後の最後まで、きっと楽しい。

そう、
世の中は、目指した人には、
甘くできているんだって。

何だか元気の出る言葉。


生きているって、いいものだなぁ。



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2005年10月22日 22:44

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