紬(つむぎ)

民芸的な味わいを持つ紬はお洒落着として着たいきものです。
織りの着物といえば、やはり、結城紬、大島紬。日本各地で紬は織られ、
それぞれに特徴がみられます。

 大島紬は、すでに約350年前には鹿児島県の奄美大島で
織られていた紬で、とくに泥染めが特徴です。
奄美大島に自生する車輪梅(テーチキ)の幹と根を細かく刻み、
煮出した液で糸染めすると、茶に染まります。
その後、泥に浸し揉み込むと、泥が媒染剤の働きをして、
艶やかな黒色に染め上がります。
何度もくりかえし、色に深みを出します。
糸は生糸を使います。
 この茶がかった黒の「泥大島」が、大島の名を全国に広めました。
そのほかに、「白大島」、「藍大島」、「草木染大島」、などがあります。
本場奄美大島の証紙は、地球印で、
泥染めの場合は、「本染めの証」という証紙がつきます。
(鹿児島が産地の本場大島紬は日の丸印の証紙)
 大島の絣は、手で糸をくくるのではなく、
仮織りすることで、くくり作業と同じ効果の出る、
織り締めの方法がとられています。
その織物が筵(むしろ)と呼ばれ、そのまま染料につけます。
糸と糸で締められた部分は白く残ります。
本場大島紬の絣は縦横絣で平織り。
柄は風景模様や草花、幾何学文様など。
 明治中期以降は手紡ぎの紬糸を用いていましたが、
のちに絹糸に代わりました。
機(はた)も居座り機から高機に。
柄は総絣、地あき絣、無地があり、絣の大きさを
マルキの単位で表します。マルキの数が多いほど絣は細かくなります。
(細かいほど技術を要するので高価になるそうです。)
 鹿児島で織る大島紬も技法は同じです。

         〜参考引用文献「きものの常識」(世界文化社)ほか〜


●着つけのアイディア
フォーマルなきものと違って、紬は気楽に、自分の好みの著つけをしましょう。
着丈も床より3〜4センチ短かめに着てかまいません。
むしろ、床すれすれに着つけたのでは、重々しく見えて、
紬のもつ良さがなくなってしまいます。
着くずれしないということは特色の一つですが、着つけてゆく段階で
「前合せ」「衿合せ」「身八つ口」と一か所ずつ、ていねいに着つけることです。
帯もやわらかい表情に結びます。街着や族行着として装う時は、
帯地を使わず、太鼓結びをしたり、角出しに結んだりします。
帯板もかたい大きなものを使う必要はありません。
家庭着、旅行着として装う時は、やわらかいボール紙を使うと
苦しくありません。

●こんなときは?
仕立てる前にかるく湯通ししておきます。特に、藍大島は湯通ししておくと
色止めにもなります。湯通しは家庭でもできますが、
専門家に依頼すると良いでしょう。泥大島は酸に弱いので、
酢、果汁、汗などは用心して下さい。もし、果汁などついたら、
きつくしぼったぬれタオルで充分たたき落して酸分をとっておくことです。
充分おとしてから掌の両手の体温で乾かします。
衿の汚れなどは揮発油やベンジン、アルカリ性油脂などは使えません。
洗濯、洗張などは、バケツいっぱいの冷水に大さじいっぱいの
圭酸ソーダを入れて、かるくもみ洗いをしますと、絣くずれや変色もしません。
中性洗剤の溶液で洗うこともできますが、
洗剤が布地に残るとよくないのでこれも専門家にまかせた方が良いでしよう。

        < あまみネットワークプラザ H.Pも参照させていただきました >


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2005年11月11日 22:56

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